GameCube Impression
Def Jam Vendetta (デフジャム
・ヴェンデッタ)

実在するラッパーたちが地下プロレスで大暴れ
ジャンルアクション
レーティングティーン

メーカーEA
公式サイト http://www.easportsbig.com/games/defjamvendetta/home.jsp


ゲーム業界最大手のEAが満を持して放ったプロレスアクションゲーム。
開発は、バーチャルプロレスシリーズで有名なAKI社。
プロレスゲームしない人はAKI社と聞いても「ハァ?どこそこ?」という
感じかもしれませんが、日本の開発会社です。
しっかりとしたシステム作りには定評があり、最近ではゲームキューブ版の
キン肉マン2世なんかを開発しています。

さて、このデフジャム・ヴェンデッタ。
プロレスといっても、実在のプロレス団体をモチーフにしているものではなく
架空の世界が舞台となっていて、選手がレスラーではなくラッパーなのが特徴。
そもそもデフジャムってのはレコード会社のレーベル名ですから。
日本で出るとしたら「エイベックス・ファイト」みたいなノリでしょうか。

まさにアメリカのティーン向けに作ったゲームだなあ、という感じがします。
プレイしてみるとプロレスのシステムは相変わらずしっかり作られており
スピード感と爽快感にも磨きがかかった感じがしました。
さすがAKI。丁寧に作っています。

しかしながら、日本国内においては誰をターゲットにしているのかが
はっきりしないのではないかと思います。
先日、日本国内PS2版が発売されましたが、初週の売り上げが
1000本行かなかったとか…

プロレスゲームには戦うこと以外にも多くの要素が存在します。
たとえば、試合に勝つためには、弱らせた相手をフォールしなければなりません。
3カウントとらないと勝てませんからね。
でも、相手が倒れたのがロープの近くだったらどうなるでしょう。
フォールしても、ロープブレイクされてしまいます。
相手がロープに触っている場合、押さえ込みや関節技は無効になるのです。
相手がリング中央に倒れるように計算して投げ技を出すのは難しいため、
相手を引きずる動作が必要になります。
他にも、タッグマッチで4人入り乱れての乱闘になったとき、仲間の動きはどうするのか?
マイキャラは誰のほうを向いていればいいのか?(1対1なら相手を見てればいい)
リング下に降りるにはどうするのか?コーナーポストの上から跳ぶには?

…数えていたらキリがないです。
つまり、プロレスゲームは格闘ゲームよりはるかに操作がややこしいのです。
技が多すぎて難しいのではなく、移動などの基本動作で覚えるべきことが多いのです。

格闘ゲーム好きな人ならプロレスもいけるか?と問われても
一概に「Yes」とは言えません。
デフジャムのラッパーファンや、ヒップホップのファンなどが対戦ツールとして軽く遊ぶには
「格闘ではなくプロレスである」という時点ですでに、やや敷居が高い気がします。

プロレスや格闘技のファンであれば、この手のゲームの操作もある程度は問題なく
こなせると思いますが、そういう人たちはきっとデフジャムなんか聴かないし、
ラッパーなんか知らないのではないでしょうか(日本人の場合は)。

仮に有名なアーティストがキャラクターとして出ていたとしても、
チャラチャラした知らないオッサンが戦っているようにしか見えないでしょう。
このソフトを購入し、プレイしている私がこんな書き方をしているのも
私自身がそう感じたからに他なりません。

プロレス選手でプレイしたい。ストーンコールドで戦いたいんだよ!
心底、そう思いました。

そんな時、たいていのプロレスゲームには救済策があります。
エディットモードです。
ストーンコールドそっくりのオリジナル選手を作ってしまえばいいのです。
たいてい使う技も編集できるので、必殺技にスタナーを装備させれば万事OKです。

しかし、このソフトにはエディットモードがついていない!
なんでだEA!NBAストリートにはついてたのに!

これはハッキリ言って致命的です。
バーチャルプロレスはエディットモードの豊富さがウリだったのに。
AKIのプロレスゲーム買って何を期待するかって言ったら、エディットなのに。

余談ですが。
確か、アメリカでPS2のスポーツゲームを発売したい場合、ソニーアメリカ独自の
スポーツゲーム規定をクリアしなければならなかったはずです。
その規定の中に「オリジナル選手をクリエイトできるモードが必須」という項目が
あったはずなのですが…
スポーツじゃなくてアクションゲームだ、とか言い逃れをしたのでしょうか?
それとも、EAって日本で言うとコナミみたいな大きい会社だから
「これ発売させてくれないなら一生ソニーのハードでゲーム出さないよ?」とか言って
圧力かけたんですかねぇ…まあどうでもいいけど。

とにかく、惜しい。惜しいゲームです。
ラップとプロレスの両方が好きなら楽しめるはず。
私が好きなのは後者のみなので、喜びは半減、という印象でした。


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